健康一般

朗報!酒飲みでも非喫煙者なら食道がんのリスクなし。なわけない。

間違いを指摘する男性

こんにちは。

ふと糖質制限系の方のブログをみていたら、『酒飲みでも、タバコ(ー)なら食道がんのリスクなし』という、とんでも記事を見つけました。

記事内では根拠として、国立がん研究センターの『飲酒と食道がんの発生率との関係について』という多目的コホート研究を挙げているのですが、研究結果が誤って理解されても困りますので、私がやさしく修正しておくことにしました。

食道がんには『扁平上皮がん』と『腺がん』がありますが、今回は扁平上皮がんのお話で、上述の研究対象者は40~69歳の日本人男性約45,000人になります。

まず問題の記事では研究結果として以下の記載をしています。

”「お酒で顔が赤くなる体質でもならない体質でも、飲酒による食道がんリスクへの影響は見られませんでした。ただし、喫煙指数20以上のヘビースモーカーでは影響が現れ、1日当たり2合以上の大量飲酒グループで顔が赤くなる体質の食道がんのリスクが、2合未満で顔が赤くならない体質に比べ3.4倍高くなっていました。」”

確かに、国立がん研究センターはそう言ってはいます。

しかし、言っているのは「お酒で顔が赤くなるかならないかは、飲酒と食道がんリスクの関係に影響を与えていないよ」ということであって、「非喫煙者であれば飲酒しても食道がんのリスクがない」などとは一言も言っていません。

さらにブログ記事内では、”結構お酒を呑んでいるけれど(1日当たり2合以上)、食道がんリスクはないという誠に有り難いご宣託ではありませんか(一部省略)”と記載しています。

これを読むと、『1日2合以上飲酒をしても食道がんリスクはない』と判断してしまいそうです。

国立がん研究センターは食道がんと飲酒について、

”飲酒については、飲まないグループに比べ、1日当たり日本酒にして1合以上から食道がんのリスクが上がり、1合から2合のグループで2.6倍、2合以上のグループで4.6倍高くなっていました。なお、日本酒1合と同じアルコール量は、焼酎で0.6合、泡盛で0.5合、ビールで大ビン1本、ワインでグラス2杯(200ml)、ウイスキーダブルで1杯です。”

と言っており、”これまでの研究と同様に、飲酒と喫煙の食道がんと強い関連が示されました”としています。

わかりやすく理解するために、国立がん研究センターが公表している結果の図をお示ししましょう。

上の図から、顔が赤くなるかどうかなどの因子を調整しても、飲酒量が増えるにつれて食道がんのリスクは上昇していることがわかります。

そして顔が赤くなる場合とならない場合で喫煙・飲酒の食道がんリスクを調べた結果は以下になります。

飲酒と食道がんの発生率との関係について
引用:国立がん研究センター 飲酒と食道がんの発生率との関係について

飲酒が2合未満であれば、顔が赤くなるかならないかに関わらず食道がんリスクは変わっていませんが、飲酒が2合以上では2合未満と比べてリスクは上がっていますね。

顔が赤くなる場合では飲酒2合未満と2合以上で大きな差があるとまでは言えませんが、それでもリスクが上がっていることは確かです。

そもそも今回の研究で国立がん研究センターが最も言いたいことは、原文(Effect of alcohol consumption, cigarette smoking and flushing response on esophageal cancer risk: a population-based cohort study (JPHC study))のAbstractに記載されていますが、

”Our results suggest that heavy alcohol consumption together with heavy smoking may increase the risk of ESCC particularly in individuals with the flushing response.”

ということです。

私が訳しますと、『今回の研究結果から、飲酒量と喫煙本数が多く、特にお酒で顔が赤くなる人は、食道がん(扁平上皮がん)のリスクが上がる恐れがあると考えられます。』ということです。

そのため、どこぞのブログで『朗報。酒飲みでもタバコ(ー)なら食道がんのリスクなし』などとされては国立がん研究センターとしては困ってしまいます。

あえて言うなら「飲酒で顔が赤くなる非喫煙者は、飲酒で顔が赤くならない人や喫煙者と比較して、飲酒量が2合以上になったときの食道がんのリスクの上昇は大きくなかった」といったところでしょう。

ブログでは”適量のアルコールという基本もあることをお忘れなく。”と締めていて、確かにその通りなのですが、記事中の ”結構お酒を呑んでいるけれど(1日当たり2合以上)、食道がんリスクはないという誠に有り難いご宣託ではありませんか (一部省略)” を読んだ後ではしっくりきません。

まぁ私が言いたいのは、読者が勘違いしそうな健康情報の発信は気を付けましょうという、自分への言い聞かせでもあります。

私のブログを読むような皆さんは、インターネット上の健康情報を鵜呑みすることはないと思いますが、健康情報を見たら可能な限り一次ソースに当たってみてくださいね。

という私も今回の論文についてはAbstractしか読んでいないのですが…。

(言い訳するとフリーで全文が読めなかったのです。もしも全文中に「非喫煙者は飲酒量が増えても食道がんのリスクにならない」という内容が記載してあったとしたらすみません。まぁないでしょうが。)

ではでは。