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なっ、なにぃ!睡眠薬が安くなるだとぉ!?

ふくろうの顔

みなさん知ってますか?

知ってますよね。

2018年度の診療報酬改定で、ベンゾジアゼピン系睡眠薬を12か月以上、継続処方していたら安くなることが決まったのです。

 
いまさら取り上げる話題でもないのですが、それにしても上記の説明では誤解が生じますね。

ざっくり補足すると、2018年4月以降の処方を対象として、同一のベンゾジアゼピン系睡眠薬を12か月以上、同量で処方を受けていると処方している医療機関の診療報酬が減ることになったのです。

診療報酬が減るということは、病院の稼ぎが減るということです。

病院の稼ぎが減るということは、患者の支払いが安くなるということなのです。

 
なぜこんなことになったのか…

お国としては、医療費を減らしたいな~、睡眠薬を専門医以外のクリニックとかでじゃんじゃん処方しているのは日本くらいだな~、そんなに必要なのかな~、いや減らしてほしいな~。

という考えからの↓

そうだ、睡眠薬系の専門家じゃないのに処方しまくってる開業医とかなら、稼ぎを減らすようにしたら処方意欲が減るんじゃね!

という流れのような気がします。

 
まぁ実際、海外を見渡すとイギリス、カナダ、ドイツ、デンマーク、ニュージーランド、フランスなどではベンゾジアゼピン系という睡眠薬の長期処方はダメよとなっているらしい。

長期処方により依存性やら濫用性やら、認知機能障害やらのリスクがあったりするからということで。

なぜ日本では、どこの医療機関でも処方できるのか。

長期処方に対する制限がないのか。

これは歴史をひも解くしかないのでしょうが、私にはわかりません。

ただし実際に診療をしていると不眠やらの訴えはひじょうに多く、睡眠薬の処方を期待する患者さんは多いです。

処方して患者さんが眠れるようになった!と喜ぶ顔が見れるようになるのは、患者さんも処方医も嬉しい。

かつ医療機関としては処方のために定期的に来院してくれると、稼ぎになるからさらに嬉しい。

しかも睡眠薬の処方日数は30日と上限があるので、毎月定期的に受診してくれる。

毎月来院してくれるなんて、医療経営的には計算できる患者さんってことでありがたい。

実際、診察・処方だけだとたいした利益にならないけど、

患者
患者
眠剤なくなったので来ました。
医師
医師
では処方しときますね。

の1分診療で片付けられるのであれば時間帯効果は高い。

年12回も来院してくれたら、体調不良なときがあって検査を受けてくれたり、肝障害とかでてないか採血しときましょってことにもなったり、インフルエンザ予防接種しときましょってなったりで、なにかと医療機関の稼ぎにつながることは期待できますね。

 
そんな感じで、日本の一般クリニックとかでも睡眠薬とかじゃんじゃん処方している先生達は少なくないのだと思う。

一応、私は眠れない患者さんに対しては、布団に入る時間・起床時間、眠りたい時間などの確認に始まり、「睡眠パンフレット」みたいなものを渡して、薬を使用する前にできることなどを理解してもらうように努力はしています。

ちなみにパンフレットにはMSDの快眠ジャパン内ページみたいなことが書いてあります。

特に眠りたい時間の確認はとても大切ですね。

患者さんは眠れないというのだけど、ではどれくらい眠れた満足なのか?

聞いてみると「21時から6-7時まで」とかの返事は珍しくありません。

9-10時間睡眠しようって、そりゃ成長真っただ中である小学生レベルじゃんって話…

「一般的には6-7時間眠れてたらいいから、21時に寝るのであれば3-4時くらいに起きることになりますね。」ということを伝えておかないと、仮に眠剤を処方したとしても9-10時間眠れないと、「薬も効かない!」とご不満になってしまう方達もいます。

さらに、6-7時間眠れたら悪くないってことに対して「えっ、そうなの?」という人すらいる…。

バリバリ仕事なさってときとかの睡眠時間を忘れてしまったのだろうか。

話がそれてしまいましたが、眠剤を希望する患者さんは少なくないのですよね。

さて、1年以上、薬の変更などなしに継続処方すると、どれほど安くなるのでしょうか。

お薬の処方に対して、医療機関は処方料や処方箋料というものをいただくことができます。

院内処方であれば処方料、院外処方であれば処方箋料ですね。

そして通常は処方料は42点、処方箋料は68点です。

これが1年以上となると処方料は29点、処方箋料は40点になります。

診療報酬は1点10円ですから院内処方であれば130円、院外処方であれば280円安くなるのですね。

患者さんの負担は0-3割ですから、3割の人は単純計算39円~84円は支払いが安くなります。

まぁ正直たいした額の差ではないか。

(今回の件と関係ありませんが院内処方と院外処方って、けっこうかかるお金が違うよってことは知っておいて損はないので、わかりやすく説明してくれているこちらの医療機関のページをみてみよう!)

とはいえ塵も積もれば山となるですからね。

医療機関とすれば稼ぎが少なるなることは避けたいところですが、1年以上処方を受けている人達がすんなり減量などを受け入れるとはいきません。

むしろ、「そんなの無理」ってなることの方が多いかもしれません。

さらに強引に処方を減らしたり変更したりすると患者は違う医療機関に行くようになるだけかもしれません。

はっきりいって安易な内服・処方に注意が必要であれば、医療機関の稼ぎを減らすのではなくて、自己負担を増やすとか、患者自身が減らしたくなる手段を取った方が確実だと思ってしまう。

処方続けたい上に、自己負担も減るという状況では、患者自らは減らしたくはならないだろうな。

さて、私は精神科医でもなければ不眠専門でもないので、減算は免れないのかというと、実は救済措置があります。

不眠に関する適切な研修を受ければよく、その研修は日本医師会のe-ラーニングで受講することが可能です。

私は早速e-ラーニングを受けましたが、動画は2倍速にもできますから30分もあれば完了で、その後の確認テストみたいなものも正直難しくありません。

終了後、「えっ、これで減算されなくなるんだぁ…」と思ったくらいです。

こんな簡単に研修が受けれてしまって減算対策になるのであれば、みんな受けるだろうな。

ということは結局1年以上処方し続けても変わらないってことで。

e-ラーニングの研修を受講するためには日本医師会に入会していないといけないようなので、日本医師会にとっては会員数が増えて、徴収できる会費も増えて嬉しいってことなのだろうか。

今回の記事ではベンゾジアゼピン系睡眠薬としていたけど、ベンゾジアゼピン系抗不安薬も同じ扱いなのであしからず。

主旨としては、ベンゾジアゼピン系睡眠薬の長期処方で減算されることになったよ、減算って安くなるってことだよ、でも研修簡単に受けれるから結局変わらないよ、結局日本医師会が儲かるってことなのかな?、患者さんは安易にベンゾジアゼピン系睡眠薬・抗不安薬に走らず詳しいお医者さんとしっかり相談して適切に使用してね。ってことです。

決して、あそこの病院いけば長期処方で安くなるから行ってみたらいいよ!とか口コミ広めたらだめですよ。

医療機関も、うちは1年以上継続すると安くできるから、眠剤欲しい人はガンガン来院してね。とか口が裂けても言ってはいけませんよ。

ということで、本当に効果的なのか個人的には甚だ疑問なベンゾジアゼピン系睡眠薬・抗不安薬の減算についてでした。

ではまた!