糖尿病攻略法

糖尿病のための筋トレ

力こぶしを作る女性

こんにちは。

前回の記事では糖尿病の運動には高強度運動が効率的であることをお伝えし、その中でも筋トレがお奨めであることまで述べました。

それでは筋トレといっても何をどうしたらいいのか?というのが今回の内容です。

改めてですが、高強度な筋トレが効率を考えた場合にお奨めできると言っているだけで、低強度筋トレや筋トレ以外の運動を否定しているわけではありません。

どんな運動であれ、しないよりはやった方がATPを消費しますから、のんべんだらりんと横になっているよりは腹筋10回でも5分歩くでも、やらないよりはましです。

では色々な運動がある中でなぜ筋トレが効率的かというと、速筋群を鍛えることができる上に短時間で済むからです。

おまけにしっかりとした強度で行えば毎日しなくてもよいのです。

毎日1万歩のウォーキングとは使う筋群や消費時間が違うのです。

ちなみに日本万歩クラブによると、普通歩きの速度では1万歩に達するのに約100分かかるらしいです。

筋トレは本当に高強度で行えば1回1時間程度、週2回くらいで済みます。

また高強度とはいかなくとも、自宅のちょっとしたスペースで1分もあればそれなりに疲れることができます。(例えば1分間腕立て伏せをし続けてみてください。)

時間がないとか、天気が悪くてとか、場所がなくて、とか言い訳は無用となります。

それでも高齢者だから筋トレは…という方などもいるかと思います。

実は速筋群が衰えていく高齢者の方がより筋トレは重要です。

そこで、高齢者でも筋トレをすることで筋量が増えて糖尿病もよくなったよという論文をご紹介します。

High-Intensity Resistance Training Improves Glycemic Control in Older Patients With Type 2 Diabetes

上記は米国糖尿病学会の学会誌であるDiabetes Careに掲載されたものです。

論文では、60歳から80歳の日頃特に運動をしていない2型糖尿病患者を高強度筋トレ群と非運動群(ストレッチをさせた)に分けて6ヶ月観察し、HbA1cの変化などを調べています。

ちなみに食事は両群ともにエネルギーや脂質摂取率に差異が出ないように管理されています。

結果として、筋トレ群は対照群と比較してHbA1cが3倍減少していました。

さらに筋トレ群では除脂肪体重(骨格筋量)が増加したが、対照群では除脂肪体重(骨格筋量)は減少していたとのことです。

まぁ予想通りの結果ではありますが、糖尿病じゃなくても身体を若々しく保つためにも高齢者こそ筋トレをするといいと私は思います。

ちなみに70歳代の高齢者がどんなトレーニングをしたのかというと、論文ではベンチプレス、レッグエクステンション、アップライトロー、ラテラルプルダウン、スタンディングレッグカール、ダンベルショルダープレス、ダンベルバイセプスカール、ダンベルトライセプスキックバック、アブドミナルカールの9種類を行っています。

頻度は週3回、それぞれ8-10回を1セットとしてセット間休憩は90-120秒として3セットしたとのことで、トレーニング時間は45分、前後ウォームアップとクールダウンにそれぞれ5分ずつの約1時間となっています。

筋トレ強度は最初の1-2週間は1RM(全力でやって1回できる強度)の50-60%、それ以後は1RMの75-85%に達するよう調整されていたとのことです。

いやー、トレ中に死んだりしなくて本当によかったいえるくらいハードですね。

もちろん虚血性心疾患患者やコントロール不良な高血圧患者などは除外されていますが、高齢者でもやろうと思えば上記くらいはできる上に筋量が増えるという結果がついてくるということですね。

おまけに糖尿病も改善するし。

高齢者でも筋トレはできるわけですが、もちろん高齢になる前からみんなが骨格筋維持のための運動を行っていけば、寝たきりの方や、杖歩行の方などが減って元気な高齢社会になるのではないかとすら思います。

あっ、認知症になると身体が元気な分、徘徊や介護への抵抗などの問題が出てしまいますが…

筋トレBIG 3から始めよう

さて話を糖尿病患者が行う筋トレに戻して、筋トレ初心者が行うべき具体的な内容を考えていきます。

ポイントは3つです。

1.大きい筋群を使う。

2.とにかく正しいフォームを意識する。

3.回数にこだわらない。

1つずつ説明していきます。

1.大きい筋群を使う

まずは大きい筋群の筋トレから始めるとよいです。

臨床の現場で患者さんに筋トレの話をするのですが、みなさんがよくイメージするのは、いわゆる腹筋運動です。

しかし、いわゆる腹筋(腹直筋)運動は効率はよくありません。

筋トレの目的の1つは、GLUT4の発現を高めて非インスリン依存で血糖を低下させることでした。

骨格筋のGLUT4の発現は使った筋群にのみ起こる減少であり、大きい筋の方が小さい筋よりも発現量が多くなります。

つまり効率を考えると指の筋肉を鍛えるより胸の筋肉を鍛えた方がよいとなります。

それでは大きい筋肉って何?ということになるのですが、まずは胸と脚と尻(臀部)を鍛えるとよいです。そしてそこに背中も加えていきたいところです。

ジムなどでバーベルがあればベンチプレス、スクワット、デッドリフトのBIG 3と呼ばれるトレーニングが最適です。

自粛を考えて自宅の場合はダンベルを用意してBIG 3をやるといいのですが、初心者かつダンベルもないという方は、自重で腕立て伏せ、スクワットからになるでしょう。懸垂などができれば最高ですが。

2.とにかく正しいフォームを意識する

これは特に初心者には超重要です。

フォームが正しくないと効かせたいところに効かせることができないばかりか、怪我につながってしまいます。

自重の場合はそこまで重い怪我はないかもしれませんが重量を扱うようになると危険ですし、自重でも間違ったフォームのスクワットなどを続けれは膝などを悪くしてしまうかもしれません。

自重でもバーベルでもダンベルでも、まずは正しいフォームを覚えて安全に効かせたいところに効かせるようにする必要があります。

そういった点では3か月間くらいジムに入って正しいフォームをトレーナーに教えてもらっちゃうのが早いですが、昨今のコロナ状況では難しいですからYou Tubeなどの動画でフォームをチェックしてください。

筋トレのフォームを解説した動画はたくさんあります。

しつこいですが、とにかく正しいフォームは超重要です。

3.回数にこだわらない

さて種目を決めて正しいフォームを常に意識して実践に入るわけですが、その際に気になるのは回数とセット数ですね。

細かくいうと色々あるわけですが、初心者の方は1セットずつフォームが乱れずにできるまでやるとよいです。

まぁ1セット目はウォーミングアップという意味で疲れない程度の回数で止めてもよいです。

ちなみにウォーミングアップでいわゆるストレッチ(静的ストレッチ:伸ばすやつ)はやめましょう。

これから収縮させたい筋群を伸ばしてしまうと十分なトレーニングができなくなります。

伸ばす目的のストレッチはクールダウン時に行いましょう。

話を戻して、フォームが乱れずできる範囲で行うということは回数は気にしなくてOKということです。

できるところまではやるということです。

つまり10回なら10回、5回なら5回でもいいわけですが、まだ正しいフォームでやれるうちにやめないということです。

それで4-5セットも行えばよいでしょう。

ただし毎セット自重で20回以上できちゃう場合なんかは、やはりダンベルなどのウエイトを購入して使用した方がよいです。

正しいフォームで10回くらいが限度という負荷に調節するとよいですが、一人でやる場合は怪我しても困るので15回くらいが限度くらいの負荷が安全です。

ということでまずは自重で構わないので大きい筋群をしっかり使っていきましょう。

ここまでは運動(特に筋トレ)に焦点を当ててきました。

しかしながら運動だけで糖尿病が改善するわけではありません。

糖尿病改善のための運動効果を最大限引き出すためにも、そもそも糖尿病を改善させるためにも食事も超絶重要です。

そんな食事については次の記事で解説します。