糖質制限

正しく伝えよう糖質制限!

ピノキオの鼻

こんにちは。

たまたま糖質制限関係のブログを読んでいたら、さすがにこの伝え方はよくないのではと感じるところがあったので、ささやかに真実をまとめたいと思います。

最初に申し上げると私は糖質制限を否定していません。

まぁ、肯定もしませんし私自身が糖質制限をすることもありませんが(過去に2週間くらいしたことはあります)、するもしないも個人の自由だと思っています。

糖質制限のメリットデメリットに魅力を感じて糖質制限を自ら進んで取り入れる方はそれでいいと思います。

タバコのメリットデメリットをわかった上で喫煙所内で喫煙することと変わりありません。

ただし、糖質制限について良く知らない人に対して糖質制限のメリットだけを強調し糖質制限を勧めるといったことはよろしくないかと思います。

ということで今回の記事です。

糖質制限推奨の方のブログ記事ですが2020年の4月に記載されています。

糖尿病性腎症の方は注意しよう

同ブログ内では『日本腎臓病学会の「CKD診療ガイド2018」ではeGFR60ml/分以上あれば顕性たんぱく尿の段階でも、たんぱく質は過剰な摂取をしないという表現となっており制限という記載はない。よって、糖尿病腎症第3期でもeGFR60ml/分以上なら糖質制限食は問題ない。』という内容が記載されています。

そして続いて同ブログ内では『米国糖尿病学会(ADA)はPosition Statement on Nutrition Therapy(栄養療法に関する声明)Diabetes Care 2013年10月9日オンライン版において、糖尿病腎症患者に対する蛋白質制限の意義を明確に否定した。』といった内容が記載してあります。

これでは糖尿病腎症であってもタンパク質をたくさん摂取していいと勘違いしてしまう方がいないだろうかと心配になりました。

米国糖尿病学会は2019年5月のDiabetes CareにNutrition Therapy for Adults With Diabetes or Prediabetes: A Consensus Reportを掲載しています。

その中のDiabetic Kidney Disease(糖尿病性腎症)のカテゴリー内では以下の内容が推奨されています。

“In individuals with diabetes and non–dialysis-dependent diabetic kidney disease (DKD), reducing the amount of dietary protein below the recommended daily allowance (0.8g/kg body weight/day) does not meaningfully alter glycemic measures, cardiovascular risk measures, or the course of glomerular filtration rate decline and may increase risk for malnutrition.”

かなり簡単に意訳すると、1日0.8g/kg以下のタンパク質制限をしてもいいことなさそうよと書いています。

さらに続けて

“The average daily level of protein intake for people with diabetes without kidney disease is typically 1–1.5 g/kg body weight/day or 15–20% of total calories. Evidence does not suggest that people with DKD need to restrict protein intake to less than the average protein intake.”

と書いてあるのですが意訳すると『糖尿病性腎症のない人はだいたい1日1-1.5g/kg、又は総カロリーの15-20%くらいのタンパク質を摂取しています。糖尿病性腎症のある人が、ない人の摂取量以下に制限する必要性は示唆されません。』と言っています。

つまり、糖尿病性腎症があった場合に昔のようにタンパク質摂取制限(0.8g/kg)をする必要性はないみたいと言っていますが、決してタンパク質を大量に食べていいよとは言っていないのです。

ちなみに日本のCKD診療ガイド2018[PDF]では、『CQ2 CKDの進行を抑制するためにたんぱく質摂取量を制限することは推奨されるか?』に対して“CKDの進行を抑制するためにたんぱく質摂取量を制限することを推奨する.ただし,画一的な指導は不適切であり,個々の患者の病態やリスク,アドヒアランスなどを総合的に判断し,腎臓専門医と管理栄養士を含む医療チームの管理の下で行うことが望ましい”

と言っています。

そしてCKD診療ガイド2018では『慢性腎臓病に対する食事療法基準2014年版[PDF]』が紹介されていますが、同食事療法基準ではeGFR60ml/分以上(G1~G2)の場合に対して何と言っているかというと、“ステージG1~G2では,過剰なたんぱく質摂取を避けることを推奨する.その過剰を示す具体的な指示量としては,進行するリスクのあるCKDにおいては1.3g/kg標準体重/日を超えないことが1つの目安である”と言っています。

ちなみに糖質制限大丈夫とされている顕性たんぱく尿(糖尿病性腎症第3期)は進行するリスクのあるCKDです。

また同食事療法基準では“ステージG1~G2では1.0~1.2g/kg標準体重/日で指導してもよい”とも言っています。

糖質制限食時のタンパク質摂取がどれくらいになるのかわかりませんが、少なくとも1.3g/kg以上のタンパク質摂取は、糖尿病性腎症第3期としてはいわゆる過剰摂取になっているということですね。

ということで冒頭に紹介した、とあるブログ記事の『糖尿病腎症第3期でもeGFR60ml/分以上なら糖質制限食は問題ない』という表現を正しく伝えようとすると、糖尿病腎症第3期であれば糖質制限をする場合のたんぱく質摂取量には注意をしなくてはいけない。ということになります。

おまけ

おまけとして同ブログ記事内で『米国糖尿病学会は、2019年4月、「成人糖尿病患者または予備軍患者への栄養療法」コンセンサスレポートにおいて、糖質制限食(Low-carbohydrate eating patterns)が、エビデンスも最も豊富であると明言しています』と記載してあったので若干補足しました。

確かに上述のコンセンサスレポートには“Reducing overall carbohydrate intake for individuals with diabetes has demonstrated the most evidence for improving glycemia and may be applied in a variety of eating patterns that meet individual needs and preferences”と記載してあります。

訳すると、糖尿病患者の炭水化物全体の摂取量を減らすことは血糖を改善する最も多くの証拠を示していて、個人のニーズや好みに応じたさまざまな食事パターンに適用できる。とのことです。

ところで、ここで意味しているLow-carbohydrate eating patternの糖質摂取量は1日の総カロリーの40-45%未満という扱いです。

1日2,000kcal摂取する人なら糖質で800-900kcalまで、つまり1日200-225gの糖質を摂取できるのですが、そんな糖質量でも日本の糖質制限推進派の方達は満足できるのでしょうか。

結局、米国糖尿病学会は何と言っているかというと、特定の食事パターンを全ての人に当てはめることはできないとした上で、確かに言えることは、

1. でんぷん質ではない野菜を食べよう

2. 砂糖と精製された穀物は控えよう

3. 加工食品を避け自然食品を食べよう

と言っているのです。