糖尿病

糖尿病について正しく考える

マカロンを食べようとする女性

こんにちは。

今や社会的問題となっている生活習慣病。

その中でも聞いたことがない人はいないであろう糖尿病について本気で考えてみるシリーズです。

さて今回は増えていく糖尿病について何とかならないもんかと考え勉強していることをまとめていきます。

昨今、減少するどころか増加している糖尿病。

糖尿病という病名は世間に広まっているにも関わらず、病院やらクリニックやらはたくさんできているのにも関わらず、糖尿病の数は減少していないようです。

厚生労働省が3年毎に行っている患者調査によると、2017年の糖尿病患者数は過去最多の328万9,000人で2014年から12万3,000人増えたとされています。

つまり、2014年からの医療機関や社会の取り組みでは糖尿病患者数は減らすことができていないということになりますね。

今までと同じ知識で同じことをしていてもダメだということで基礎から改めて勉強し直してみることにします。

ちなみに当ブログで扱う糖尿病は2型糖尿病です。

糖尿病を理解する

糖尿病とは血糖が高くなる病気です。

それは糖尿病患者や医療機関スタッフであれば知っています。

というか世間一般的に知らない人の方が珍しいかもしれません。

糖尿病を治し、患者数を減らす方向にもっていくには糖尿病について正しく理解していく必要があります。

ここでいう理解とは「糖尿病とは血糖が高くなる病気である」ということではなく、「なぜ血糖値が高くなるのか」を知るということです。

病気をしっかり理解しないと適切な解決法がわかるわけがありません。

食べ過ぎや運動不足、肥満などがよくないことは誰だってわかります。

そのため「食べ過ぎに注意しよう」「適度に運動しよう」「やせよう」などの言葉はたいして意味を成しません。

そんなことはみんなわかっているからです。

「私は食べ過ぎで運動不足だとは知りませんでした!!教えてくれてありがとうございます。」とはなりません。

そうなるのであれば糖尿病患者は減っています。

なぜ糖尿病になったのかもわからずでは治し方も当然わかりませんし、自分の生活スタイルが糖尿病を引き起こしているのであれば、何が原因でどうしたらいいのかを正しく理解せずに治すことは困難を極めます。

「食べ過ぎに注意して適度に運動が必要だね」などの医者の言うことを聞いてるだけ、出された薬を飲むだけでは治らないのです。

それで治るなら糖尿病患者は減っています。

自分の身体を他人(医者)に任せるのではなく、自分自身で理解することが必要です。

そして糖尿病を理解すると同時に、正常な糖代謝についても知っておく必要があります。

正常を知らなければ異常は理解できませんね。

「彼を知り、己を知れば、百戦して危うからず」 と孫子の兵法でも語られているのです。

ということでまずは2型糖尿病(以下、糖尿病)の病態を学んでおきましょう。

そうすることで糖尿病とは糖代謝異常がある状態であって、糖代謝異常を改善することが糖尿病の本質的な治療目的になることが理解できるはずです。

昨今は「糖質制限」を見聞きする機会が多くなっていますが、ここで目指すのは「糖代謝異常の改善」であって「血糖値が上がらないこと」ではありません。

「糖代謝異常が改善する」とは糖質を食べても異常高血糖にならないということです。

果たして糖尿病=糖代謝異常を治すことはできるのでしょうか。

ところで血糖値を上げないようにすることは実は簡単です。

糖質を摂取しなければいいのです。(当たり前ですが)

しかし、それでは糖代謝異常が改善しているのかはわかりません。

糖質を摂取しないで糖代謝異常が改善するのであればOKなのですがね。

糖質制限を行った場合には身体はどのように変化・対応しているのかについてもしっかり理解する必要があります。

その理解なしに「糖尿病⇒糖質制限!⇒治る」とはいえないのです。

前書きが長くなってしまいましたが、まずは糖尿病の病態についてみていきましょう。

とにかく正しく理解する

最初に2型糖尿病とはいったいなんなのかを押さえます。

2型糖尿病の定義をみてみると「インスリン分泌低下やインスリン抵抗性をきたす複数の遺伝因子に、過食(特に高脂肪職)・運動不足などの生活習慣、およびその結果としての肥満が環境因子として加わりインスリン作用不足を生じて発症する糖尿病である」とされています。(清野裕ほか:糖尿病55:485-504, 2012)

簡単にまとめるとインスリン作用不足ということです。

人体において血糖を下げる唯一のホルモンがインスリンです。

そのインスリンが作用不足になるため血糖値が下がらなくなる=上がるということになるのですね。

まぁそれくらいはそこら辺にある一般書やブログなどでもわかります。

ではなぜインスリン作用不足が起きるのでしょうか。

インスリン作用不足にはインスリンの血糖降下作用を十分発揮できない「インスリン抵抗性」からの、インスリン分泌が低下する「インスリン分泌障害」の2段階があります。

抵抗性と分泌障害を一気に押さえていくのは大変なので、まずは糖尿病の最初の段階と考えられる「インスリン抵抗性」を押さえます。

インスリン抵抗性がなぜ生じるのでしょうか。

糖尿病学(西村書店 編集 門脇 孝ら 2015, p239)によれば、高脂肪食などの欧米型の食習慣や運動不足に伴う肥満、特に内臓脂肪型肥満により引き起こされるとのことです。

脂肪が多過ぎるのは良くないだろうということは、これまた大勢の人の既知の事実ですね。

ではなぜ脂肪がインスリン抵抗性を増悪させるのでしょうか。

それは増加した脂肪組織(脂肪細胞)に原因があります。

脂肪組織(脂肪細胞)はエネルギー貯蔵器官であるだけでなく、ある種の成分を分泌する分泌器官でもあります。

そして脂肪細胞の分泌物質にはインスリン感受性増強作用のあるアディポネクチンなどがあります。

アディポネクチンは血糖低下に役立つ物質で、受容体を介してAMP依存性プロテインキナーゼやペルオキシソーム増殖因子活性化受容体α(PPARα)といった舌を噛みそうな名称の経路を活性化させてインスリン感受性を増強させます。

つまりアディポネクチンは分泌されていた方が血糖は下がりやすくなります。

一方で肥大した脂肪細胞には活性化したマクロファージが浸潤し、マクロファージは炎症性サイトカインである腫瘍壊死因子α(TNFα)を分泌します。

TNFαは、その受容体を介してcJun NH2-terminal kinase(JNK)を活性化させてインスリン作用を阻害します。

つまりTNFαは少ない方が血糖は下がりやすくなるというわけです。

脂肪細胞がやたらと増加(つまり肥満)すると脂肪細胞からのアディポネクチン分泌低下や活性化マクロファージからのTNFα分泌増加といった変化がおきます。

他にもいろいろな変化がありますが、そんなこんなで肥満者はインスリン抵抗性が進んでいくことになります。

ではインスリン抵抗性が進むとどうなるのでしょうか。

インスリン抵抗性は肝臓における糖新生抑制を障害し、骨格筋における糖取り込みに支障をきたします。

また脂肪細胞に対しては脂肪分解を進め血中遊離脂肪酸が上昇します。

ちなみに健常者であれば低濃度のインスリンで脂肪組織における脂肪分解は抑制されるため、空腹時であっても血中遊離脂肪酸は低いです。

さらにインスリンの中枢における摂食抑制作用も障害されるため、十分食べているのに食べる⇒太る⇒インスリン抵抗性悪化という負のスパイラルに陥ります。

インスリン抵抗性が強くなると今までと同じ量のインスリンでは血糖が下がらなくなるため、膵β細胞はインスリン分泌量を増加することで血糖を下げるように対応します。

しかし、膵β細胞がインスリンを頑張って分泌している間にインスリン抵抗性が改善しなければ、力尽きた膵β細胞のインスリン分泌能が低下し、インスリン分泌障害が進んだ結果、糖尿病発症となります。

インスリン分泌障害が進む要素には肥満からの炎症などが関与してくるわけですが、そこの解説については別の機会に。

ということで、結局はお決まりのように耳にする「痩せましょう」「体重を減らしましょう」は糖尿病を治すためにはある意味正しいわけです。

なぜ「ある意味」かというと「痩せる」「体重を減らす」を正しく理解しないといけないからです。

間違った痩せ方は糖尿病を治す方向に進みません。

体重とは身体の重さを指し、身体の重さとなるものには水分や臓器やら骨やら筋肉やら脂肪やらがあるわけですが、ここで言う「体重を落とせ!」は「脂肪を落とせ!」であることを明確に理解しなくてはいけません。

少なくとも筋肉や水分など、すぐ落とせるものを落として「体重が○○kg減った!」などと満足してはいけません。

後の記事で取り上げますが、インスリンに依存せずに血糖を低下することができる骨格筋量を減らすことは、糖尿病を治したい人にとっては愚の骨頂です。

糖尿病を治す方向にもっていくには、いかにして筋量を落とさず脂肪を落とすかにかかっています。

ということで、続いてはどうやって脂肪を落としていくかを見ていくことします。

が、疲れてきたので別の記事で。